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沢木耕太郎 旅の窓 [私の読書]

沢木耕太郎著『旅の窓』2013.05

日経新聞の書籍の広告欄で、『旅の窓』のタイトルに魅かれ、いくつかの書店を探し3店目で、やっと購入できた。「私の旅の友」には欠かせない本となった。

ノンフィクション作家でありエッセイストである沢木耕太郎氏(私の兄と同年/1947年生、横国大卒、“富士銀行の出社日の朝、会社に向かう通勤途中でたまたま雨が降っていたので退職した”という、変わった経歴の持ち主)が撮ったワンカットの写真に彼の言葉で「意味」を与え、一冊の本にまとめたものだ。写真は、彼の人生の一コマでもあるのだろう。

誰しも何かを考えて写真を撮る。私がバルセローナを旅行(60歳からのひとり旅Ⅲ、2013年12月)したとき、いつも通り広場の調査のため行った王宮広場での出来事。ハンティング帽を被って、壁に寄りかかり、スケッチをしているときだった、スペイン人の旅行者(スペイン語が少し分かるので)が私に“私を撮っていい?”と言った。僕は“如何して”と尋ねたら“スケッチをしている光景が好きだから”と言われ、“どうぞ”とと言った。彼が撮ったあと、私に見せてくれたが、私にとってはどういうこともない写真だった。

軽井沢千住博美術館に行ったときの思い出写真で意味づくり.


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つばの広い帽子を被った女性が美術館で浮だって見える。絵の中から飛び出してきたような、美しい、スタイルの良い女性。傾斜した白い床と曲面の白い壁、そして傾斜した屋根、壁に掲げられたモノクロの滝の絵と中庭の木々が、さらに静けさをかもし出す。この場所、空間が外部にいるように感じる。設計者西沢立衛が意図したのが、反転空間なのだろうか?

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長いベンチに座っている80歳近い老人は、絵を見ることもなく、もの思いにふけているようだ。疲れているのだろうか?どうしたのだろう?奥さんは、絵画を見廻っているだろうか?と思いながら見ていた。そこに奥さんが現れた。何を話しているのかと耳をそばだてて聞くと、ご主人は“あそこの絵は良かっただろう、いくらするのかなー”と購入することを考えているのだ。好きな絵は自分のものにしたいのだなー。

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ミラノ 朝のバールで 宮本映子 [私の読書]

宮本 映子著『ミラノ 朝のバールで』

久しぶりにイタリアでの生活、イタリア人のことを思い出す内容だった。
道路を尋ねた時の彼らの対応でも、けっして知らないとは言わず、間違った道案内も丁寧に教えてくれる。これは、フランスでも同じ経験をした。そして、バールでのイタリア人の振り舞いは、日本人のようにコーヒーや紅茶を座ってゆっくり味わうと言うことは滅多にしない。バールは彼らにとって本当に生活の一部で、本当に空気の如きものだ。その通りだ。
ミラノでは、小学生の娘・息子の登下校は、父親が送り迎えをする光景をよく見かけた。イタリアは経営者が多いし、通勤距離が短いしね。父親は日本のようにほとんど母親任せにはしない。イタリアでは「子供はわが魂のかけら」というそうだ。

僕の体験だが、ナポリの飛行場から目的地の市内のホテルまで、タクシーに乗ったときのこと。若いドライバーは、怖いぐらいスピードで走り、ホテルには早く着いた。早く着いたのだから、そして二人載せているのだからチップと運賃を二倍要求されたこともあった。フィレンツェの飛行場から市内まで、外人のカップルと私の3人でタクシーに同乗、支払う段階で、同乗者は、僕に運賃の半分要求した。でも僕は3人だから3分の1だと言い張った。ドライバーは、僕に賛同してくれた。僕は3分の1をドライバーに払って、別れた。外人は納得できず、その後も、ドライバーと論争していた。本当に人情味あふれる人たちだ。

電車・バスでの出来事、マーケットでの買い物の出来事、すべてがその通りだったーなーと懐かしくさせてくれた本だった。

尾道出身の宮本さんは、尾道に住む従妹に似た顔立ち、何か親しみを感じる。尾道は、小さい頃何度か訪れ、大人になってから3度は行っている。私の実家から車で1時間30分。静かな町、平地はほとんどなく、後方を山に囲まれて、山には“文学のこみち”(尾道は作家、林芙美子や志賀直哉、歌人、正岡子規など多くの文人墨客のゆかりの地)が懐かしい。

宮本さんは彼、イタリア人との出会いが、運命のいたずらか、彼女の一生を決めた。全く経済力がない2人が結婚。若いからできるのだろう。その後、三軒の店を構える彼はすばしい。外国での生活、相手が経済力のある人で良かった。ほんとうに運命の出会いはあるんだなー。

イタリアはこの国で出会う様々な色彩、かたち、音、匂い、味のすべてが常に五感を頼ませてくれる。

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カテリーナの旅支度 内田洋子 [私の読書]

『カテリーナの旅支度』 201310.10 著者 内田洋子

表題作の追想「カテリーナの旅支度」では、内田さんの優しさを特に感じた。
エッセイスト、内田洋子さんは、私にとってはじめての女性作家〈1959年生れ)、友達が住んでいる神戸生まれ。現在2023年もイタリア在中のようだ。2人目は高田 郁(たかだ かおる 宝塚市出身1959年生)、同じ兵庫県、同年齢の作家。

この本との出会いは、代官山の蔦屋、多くの旅行本の中から、表紙とタイトルに魅かれて、手に取った文庫本。イタリアでの生活とイタリア人をうまく表現している楽しい本だ。
内田さんはイタリアの色んな街に住んでいる。今住んでいるのはミラノ近郊だろうか?彼女自身を控えめに、他人に対してこころを広く持ち、様々なイタリア人と上手く、楽しく付き合ったいる生活がうかがえる。

本の中の「二十の追想」では、サルデーニャ島での生活から始まる。まだ行ったことがないサルデーニャ、10年前にローマで観光しているときに入った店のオーナーが、サルデーニャ生まれ、気さくでやさしい素朴な人だ。一度は行ってみたいなーと思った。

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矢内原伊作  ジャコメッティ [私の読書]

【矢内原伊作 ジャコメッティ】



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ジャコメッティの面白い話がある。

「けさがた私はたいせつな発見をした。」せっせと筆を動かしながら彼は言う。「それは鼻の先端から始めなければならないということだ。顔の全ての部分は鼻の先端から始まって背後に向かう動きの中にある。鼻は一つのピラピッドだ。上から見たピラミッドさえ描くことさえできたら、他の部分は自然に出来上がるにちがいない。」それからまた、
「きみの顔に似なければならない、しかし似なることを恐れてはならず、似せようとして描いてはいけないのだ。」

私にとっては君の鼻がすでにピラミッドだ。君の顔がすでにスフィンクスだ。ああ、君の顔の中央のこの小さなピラミッドが幾らかでも正しく描けたらどんなに素晴らしいか。鼻だけだけではない、きみの顔のあらゆる部分が幾つものピラミッドから出来ている。それを捉えるのはほとんど不可能に思われる。」‥「きみ自身がピラミッドなのだから、何もピラミッドを見るためにエジプトまで行くことはないだろう。‥」

「明日まで、いや明後日まで待ってくれ。明後日まで続けてみて見込みがあればよし、もしも見込みが無いようなら放棄しよう。‥私はすべてを失うことになる。私は職業を変えなければならない。」

延々とモデルを何時間、何日間もモデルの矢内原氏とジャコメッティとの間でやり取りが続いた。しかし、完成はしないままに終わる。 恐らくすべての作品が彼が納得したものではないのだろう。
一方、全てが売られていく。どんな気持ちだったのだろうかと思う。

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愚者の質問 倉本 聰 [私の読書]

【愚者の質問 倉本 聰】

難しいこと事をやさしく、理系の数学的な難しいことを文系の人の側から質問をする

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私は理系ではあるが、建築の事、意匠的な事しか興味が無い私でも、結構おもしろく読めた。
この本から抜粋してここに記録することにした。常に、勉強が必要だと言うことは理解している。


【すばらしき偶然の惑星・地球】賢者/伊藤和明氏


1978年宮城県沖地震の地震は、仙台市周辺の丘陵開発、開発した土地の境目、地盤の「液状化」。1964年の新潟地震も同様です。そして、1995年1月の神戸の震災も同様。すべて、土地の開発自体のずさんが原因。その他にも心配。「液状化」が起きないように、対策をして開発した海副都心、横浜のMM21が、どうなるだろうか?そして、いつかはやっぱり人類は全滅することになるでしょう。

「餓死」今の世界の人口は65億人、2050年には100億人。中国とインドを合わせて、人口の4割ぐらい。日本の人口の減少、少子化は常に進んでいるが、中国とインドの人口は異常な伸び。

そして「高温化」により、台風はどんどん巨大化する。


【自然体験が育てる子どもたちの脳と心】 賢者/澤口 俊之

「カンガルーケアVSスポック博士」
脳が大きすぎて産道を通らないから、大体半年から1年早く生まれ、脳・体も未成熟で生まれる。
少なくとも24週間は、お母さんが優しく包み込むように抱いておく必要がある。

2000年頃までは、スポック博士が提唱した育児、“子供を離して育てる”
その後、スポック博士が亡くなってから、育児方法が変わった。今までの人達に、人格障害の弊害が見られた。五感「視・聴・嗅・触・味」の比率、バランスは、視覚が60%、皮膚感覚20%、触覚20%、聴覚10%、嗅と味覚は5,5%。

1:どのような環境で育つかが重要、例えが音楽、音楽用の脳の領域が大きくなる。だいたい3歳から8歳まで。

2:神経質 過干渉、過保護に子どもに口出しするのは良くない。大人になって反社会的になる。  体験・経験が記憶になる

3:お母さんが働きに出ている子供は、情動的発達が悪い。子どもを産んでから1~2年間は、働く時間を週27時 間以下、一日5~6時間。

4:親の離婚は子供にとって、知的、情緒的に悪い。

5:禁止規範、禁止事項を教えるのは父親


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はじめての女性作家 高田郁 [私の読書]

【女性作家 高田郁】
 
はじめて女性作家の単行本を読んだ。
宝塚市の生れ、中央大学法学部卒。漫画原作者としてデビュー。
高田郁さんが漫画家から時代小説家に転身するきっかけとなった山本周五郎の「なんの花か薫る」を読みました20231210。残酷物語、女性の純真さ、どんてん返し“なんの花”は、卯の花。この白い花は古風な女性を思わせるそうです。

NHKの連続「銀二貫」と「みをつくし料理帖」を見てから、作家の本を読んだ。
「みをつくし料理帖」シリーズ と「あきない世傳 金と銀」シリーズ、11巻。

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男性作家と違った細かい表現、描写、言葉使いとあまり気にしていなかった、季節、月日、時の流れなど。
全く無駄な言葉と描写が無いと思う。地方の言葉、特に関西弁は物語の情景を広げる、想像させる。
かなりの愛読者はいるだろう。

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美観都市パリ 著者/和田幸信 [私の読書]

【美観都市パリ】著者/和田幸信

これからの都市景観は、鉄筋コンクリート造はどうなのだろうかと考えていた時、「美観都市パリ」の本に出会った。パリは、何処に行っても美しい景観を見る。そして、美しい街には、美しい広場がある。
“美しい街パリの中心街は、石が今の美しい景観を造り、コンクリート造ではない。”


私には行きつけの広場がある。

“サン・カテリーヌ広場”だ。広場近くのパン屋でクロワッサンとバゲットパンを買う。そして広場に行く。ここで細長いバゲットをかじるのは、私にとって最高の幸せのひとときだ。プロシュートがあればさらに良いが。https://musashinosekkei.blog.ss-blog.jp/2015-02-10

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パリの美しい外観を形づくっているのは、統一された高さと二千年以上の歴史のある石造りの建物と19世紀になって鉄という新しい材料が使われるようになったマーケットなどの黒色、深緑色をした鉄骨造が点在している。

コンクリートの建物と言うと建築家/安藤忠雄をイメージする。仙川に行って建築群を見学して、どうしてこんな風景になるのかと考えさせられた。 https://www.ohkaksan.com>仙川安藤ストリートを行

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梅原龍三郎と女優 新聞20190407 [私の読書]


画家と女優  梅原龍三郎と高峰峰子

目が語る真実の姿捉える

似てない 内心はギックリ


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書籍【日日是好日】の中から言葉さがし [私の読書]

【日日是好日】 著者/森下典子


余り女性作家の本は読まない。しかし、女優の樹木希林の最後の映画、見に行こうと思ったが、なかなか心の余裕がない‥。映画館が遠のいていく。それで、先ずは本から入ることにし、今日読み終わった。

何でも建築に置きかえてしまうわけだが、以下の言葉が気になり、ここに抜粋した。

お茶はね、まず『形』なのよ。(でも、『心』の入っていないカラッポの『形』を作るなんて、ただの形式主義‥‥創造性のカケラもないじゃないの)

建物の『こころ』とは何か?

『住宅の設計』は、事務所ビルの設計と集合住宅設計とは違う。


『形』をつくる、つまり“場所、法的条件、施主の要望”までは、ある意味同じことかもしれない。しかし、住宅はその後が違う。ラジオとかテレビのコマーシャルでは表現できない、何故なら建物に入る人/施主は、一人一人違う。


武蔵野市境に住宅を設計して、現在設計監理をしている。『かたち』は出来た。そして、二人の子ども、両親と4人暮らしのディテール、『こころ』を入れて設計した。そして、更なる『こころ』を入れるために設計監理をしている。と思っているわけだが‥



なかなか、設計図通りに行かない。扉枠を見付けを21から25に変更したり、庇の出を変更、工事の段階の変更したり、また、設計図に表現できないこともある。
そして、施主の要望、私からのお願いなどもあるので、でも、目的は施主の喜ばれる住まいをつくること。

現在、左官の伊藤さんが、外壁のモルタルを塗り、内部は64歳の大工の斉藤さんがコツコツと丁寧に仕事をしている。明日から、新しく2人の大工さんが入り、2階の野縁の作業に入り、急に慌ただしくなる。

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「磯崎新の仕事術」 著者 磯崎新 奈良見学 [私の読書]

「磯崎新の仕事術」
 著者 磯崎新 1996年発行  
2019年プリッカー賞 受賞 おめでとうございます。

日本人では、丹下、槇、安藤、妹島、伊東、坂さんの次の8人目の受賞。

磯崎さんが1931年生まれだから、65歳の時に書かれた本。ほぼ、僕の歳に出版された本。

磯崎さんの本は、建築の解体とか、多くの本があるが、ほとんど理解が出来なくて、また彼の作品に興味が無い。87歳過ぎた現在も、世界で設計の仕事をされていることは、槇文彦氏同様に、素晴らしい。

昨日、2018年11月3日、孫の誕生日のために武蔵小金井に行った。駅から歩いて15分。それを1時間かけてゆっくりと行った。 古本屋を見つけた。そして、この本を買った。

汚れていない、このきれいな古本がわずか100円税込。

この本の中から、一つの好きな言葉を探そうと購入した。 

今週行く、奈良と京都について書かれいた。

“いつの頃か、カメラをお持ちあるくのを止めた。シャッターを押したとたんに見たものをすべて忘れてしまうからだ。代わりにスケッチブックを持ち歩くことにした” 同感です。

“奈良は建物ばかり描いている。京都では建物を描く気がしない庭や山のほうが何故か印象にのこっている。”

『奈良の街では、建築物は屋根のシルエットとして立ち現れる。東大寺大仏殿と興福寺五重塔が木立の上に浮かぶ。 落日の西山は、遠くにかすむ。この街では、瓦は波のメタファーである。屋根はさしづめ大きな波だ。 鴟尾(しび)をのせたくなる気持ちが分かる。』

京都より奈良の方が好きな僕にとっては、この表現が好きだ。
竹中工務店の岩本博行氏に言われて、奈良に1年間住んだ。当時が懐かしく思い出された。
そして、三日後の11月7日夜行バスで奈良に行った。JR奈良駅に朝6時20分に着く。
30年前から変わった光景にびっくり。

磯崎氏の建物を見る。駅からデッキでつながっている。デザインの納まりにがっかりはしたが、瓦を使いたかったんだなと、彼の気持ちを理解‥。

奈良ホール図面.jpg

磯崎さんならjpg.jpg


そして、昔の奈良駅が、スタバの店になっていたのにもびっくり


奈良駅スタバ.jpg


奈良スタバ).jpg



唐招提寺についても書かれていた。美しさ、感動を僕の言葉で表現すると‥
朝、開門8時30分の前に、南大門の前に立つ。金堂が正面に見える。左右を景観を追いかぶさるように樹木がある。

正面の灯篭と後方の柱と瓦屋根のプロポーションが美しい


唐招提寺20181108.jpg

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