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住宅設計 「火と水と木の詩」 [設計の仕事]

「火と水と木の詩」
 
吉村順三


建築の仕事について、吉村さんが70歳のときの、率直に飾りもない言葉で説明している。非常に楽しく読ませていただいた。お薦めする書籍だ。

吉村順三書籍.jpg


この本は、吉村順三氏(1908年から1997年)が、1978年11月11日に出版社との対談の中から抜粋された内容を本にまとめたもの。つまり、吉村さんが70歳の時の言葉です。私も、2年後。私にも分かる素直に理解できる言葉だった。以下が、私が納得した事柄を抜粋して書いてみた。

1:吉村氏はなぜ建築家になったか
自分の好きなコージィー(居心地のよい、くつろいだなどの意味)なスペースを造ろうと‥建築デザインの基本。しかしまだできない。

本当に誠意をもって作った物は、本物だという感じを得ました。絵描きさんが画商のために書いた絵‥ソロバンをはじいて出来た家、ピンとこない、生き生きしていない。

2: 「プランと高さの関係の発見」
美しい家というのは皆天井が低い‥七尺5寸の天井以上は、美しくない。という言葉等々。高さは非常に重要また、‥不用なものは低くて、プロポーションが良くて、安く出来るなら‥。

私のメモ:今まで当たり前のように、天井高さを2400以上と考えていた。武蔵野の住宅は、2400を2250を基準、標準にして考えて設計した。
ただし、事務所建築(日比谷の新虎通りのTビル、竣工20180328)では、各室の高さ2650を最低の高さとして、高くできるところは、これ以上の天井高として、裕福な空間づくりをして、施主に喜ばれた。
住宅と事務所建築は違う。


3:日本での設計活動
【設計の基本は住宅から】

住宅ばかりやっていると、事務所の経営がうまくいかないんだけど、住宅が好きだから‥。だから、偉い先生達はちっとも住宅をやってくれない。あれは間違いだと思う。

4:建築家の役割
建築の仕事は欲得なし
一つには人のための仕事が出来る、人の役に立つ仕事が出来る。

建築家の仕事は、良い仕事ですが、とにかく人間を扱う仕事ですから大変です。
器をつくって、その中に人を入れるという仕事ですから、とても面白い仕事だと思います。
しかし、必ずしも建築家は、社会的にも経済的にも恵まれていない。

「建築創作の喜びと責任」
建築家はビジネスでないから‥建築の仕事をしている時が一番幸せだなあと思う‥。

「建築は人間の精神安定剤」
家というのは、とても便利だとか、快適だという以外に、その家の品格が人に与える影響というものは、すごく強いものがある。寸法が悪くて、寒くて、具合が悪い感じで、年中その人達はいらいらして‥








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