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好きな建築家 [私の読書]

私の好きな建築家、尊敬している建築、槇 文彦氏(1928年~)

今日は、2013年1月14日(成人の日)、この冬初めての大雪だ。この日、武蔵境の駅前の喫茶店で、

「記憶の形象」を、読み終えた。

この本の前は、「パタン・ランゲージ」C・アレグサンダー著(平田翰邦訳)難しい本に手を付けた。そして、槇さんの本だ。どちらも捨てることができない一生の本になった。

私ももうすぐ63歳になる。

私の好きなもう一人の建築家は、住宅作家の宮脇 檀。作品も好きだが、『宮脇 檀 旅の手帳』は、旅行の時、非常に参考になる。彼が他界したのは、1998年62歳だった。そして、槇さんがこの本を完稿したのが、1992年64歳。親友が亡くなった、2012年63歳。
60歳は生と死、人生の折り返し地点なのだろう。


「記憶の形象」、641ページもあるこの本を購入したのは、10年以上前になる。

私が20歳代、最初に働いた設計事務所、渡辺 泰男氏が入院した時に読んでいた。
直ぐに購入したが、2~3ページ読んで、難しそうなので、本棚に並べていた。昨年12月、バルセロナに行きローマ時代の城壁、時代の流れに心を惹かれた。今年になり、何故か急にこの本が読みたくなり、埃をはらって、読み始めた。

「記憶の形象」。私には難しかったが、“さすが槇さん、よく勉強されているなー”、自分の歳を考えながら、“私の40歳代、50歳代、何を考えて、設計していたのかなー”と思いながら読んだ。

『奥』『重層』という言葉が、使われるようになった都市論から、彼の文章に引き込まれるように読んだ。おもしろかった。興味を引いた6カ所だけをメモとしてここに残す。

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田沼意次のイメージ [私の読書]

佐伯泰英氏の「居眠り磐音江戸双紙」シリーズを読み、田沼意次のイメージは悪名高き人物として描かれ、そうだと信じていた。

四国、志度の平賀源内記念館http://musashinosekkei3.blog.so-net.ne.jp/2012-03-03に行った。源内(1728~1779年)のネットワークに田沼意次(1719~1788年)との接点があることが分かった。博物学者でもあり多才な彼を育てていた。
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科学者でもある人との接点がある人が、悪人ではないと思った。そこで、村上元三氏の“田沼意次のシリーズ1~5”と平岩弓枝氏の“魚の棲む城”を読んだ。どちらにも過去のことにこだわらず、新しい知識、医学、科学、海外との交流考えていた田沼意次のことが描かれている。そういう人に悪名と呼ばれるはずがない。

それよりも“魚の棲む城”に書松平定信に対して怒りを感じた。

意次は将軍徳川家治の許しを得て建設した“相良城”過去の遺産を個人の欲、怒りで田沼意次の相良城を壊した。

海に鳥の翼を広げたような城、見たかったなー。

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作家 佐伯泰英  [私の読書]

「秋思ノ人」 作家 佐伯泰英

7~9年前だろうか、朝日新聞の日曜版で佐伯泰英氏が大きく紹介されていた。

日大卒、スペイン留学、写真家から初め、最初のころのサスペンス作品が売れなくて、出版社から時代物か、エログロの世界を書かないと言われ、今のような大衆時代小説家になった。それからは、誰でも知っている小説家になった。そういった、視点を変えたこと、素直さが、今の彼をつくりあげていることを知った。

それから、彼の人としての作品、色んなシリーズものをよく読んだ。
新刊が出れば直ぐに書店に行って購入した。読者を愉しませることを良く分かっている人だ。一つの仕事で生きていくことは大変なことだ。


他の作家が書かないような何世代も続く家系も考え、家族、生活、色恋、少し入れたエロと面白く読んだ。

今回の39冊目「秋思ノ人」。これで私も最後にしようと思う。

私も62歳、人生の折り返し地点、これからは、司馬遼太郎を読み返したり、村上元三、山下一力氏などの嗜好の本を愉しみたい。

佐伯さんほど多くの作品を書き上げている人はいないだろう。みんなを愉しませるためじっとしては居られない人なんだろうな。

佐伯さん ちょっと人生のお休みをしては如何ですか?

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歴史を紀行する 司馬遼太郎 [私の読書]

『加賀百万石の長いねむり(金沢)』

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前田家は尾張発祥である。尾張の織田家家臣としては中の上の家柄で…信長は利家を「お犬」と呼び餓鬼大将が雑犬でももてあそぶようにして愛した。 秀吉は晩年、利家について「かれとは竹馬の友である」…徳川家康に対立する勢力にしたてあげた。やがて秀吉が死ぬ。…二代目利長「豊臣家への義理は亡き父利家の一代で十分にはたしたはずである」と宣言し、公然、家康に与し…




“鼻毛で阿呆を装う”徳川初期、その種の豊臣恩顧の大名はつぎつぎにつぶされ、加賀前田家も当然ながらその最大の目標になった。しかし…三代の利常は自分を阿呆仕立てにした。…「加賀の狸寝入り」といわれる。


織田信長前の百姓による100年続いた“一向一揆”も今の加賀の基礎となっている。町の至る所、お寺の多いのにはびっくりする。織田信長の出現までの百年の間、納税はお寺に支払っていた。

“百年続いた革命共和国”
1488年、足利九代将軍義尚のときである。立ちあがった一揆は十万または二十万といわれ、富樫政則の高尾城を包囲し、攻防一ヶ月のすえその城をおとし、正親を火災の中で自殺せしめた。政親の首を得たこの六月九日をもって加賀国に一種の革命政権が成立した。連合政権であった。構成要素は、地侍、門徒百姓、本願寺僧侶より成り、既成支配階級はひとりも参加していない。 「加賀は百姓の持ちたる国」という。
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勝海舟 村上元三 [私の読書]

『勝海舟』 村上元三著



勝麟太郎001.jpg坂本竜馬を司馬遼太郎“竜馬がゆく”を漫画を読むごとく楽しく読んだ。それからだろうか、読書に興味を覚えたのは。

司馬さんの本からは、勝海舟はほとんど描かれていないので、別の視点幕府側から知りたかった。この本から学ぶことは大きいと思う。


この本の後半からだが、坂本竜馬と西郷吉之助の思想に勝麟太郎の影響が大きかったことを知った。






勝麟太郎の師とする島田虎之助の言葉 “剣だけでなく、心を練り、胆を磨いて、天地一切の具象に負けぬ魂を作ること”


物語は多感な16歳から始まる。そして、6歳の頃の父の思い出、貧乏でどん底の生活、父小吉の悪童ぶり、そして父の愛情に支えられていた。

当時、学問するために必要な書物、手に入れるために高額な書物のために、生活はいつまでたっても、楽にならない。でも、生活を楽になるために学問を続けていたわけではないだろう。師からの教えを素直に、学ぶことを忘れない意志と日本の植民地にならないようにする気持ちが彼を支えたのだろうか。

将来の妻との出会いにも、浮き浮きする光景が描かれている。







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山本一力 晋平の矢立 [私の読書]

山本 一力 『晋平の矢立』


山本一力.jpg
佐伯泰英の作品を卒業しようと思う。

そして、山本一力の作品は、直木賞を受賞した『あかね空』を読んでから、彼の時代小説の面白さを知った。

さて、今回の『晋平の矢立』意味も分からず見ると、建築に関係する解体業者の仕事を紹介した内容だったので、すぐに読んだ。さっと、すっきりした感じの作品だった。解説者の縄田一男氏の言葉を借りると“実に気持ちがいい”と言ったとこだろうか。





彼の説明では、“理屈ぬきで、男が自分の心の中に抱えている三種の神の器は、見栄と器量と心意気である。男は自分が男である限りは、この三つは、どんなに辛くても、口を真一文字に結んで守り通さなくてはならない。”

自分の仕事だが、新橋三丁目の土地を入手するため、代替地を探している。日比谷通りを境にして、西新橋の方は「川向う」と呼ばれる一段下に見られる新開地になるようだ。この見栄はしっかり残っているようだ。


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高杉晋作 村上元三 [私の読書]

『高杉晋作』 村上元三著
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この作品は、高杉晋作が22歳の時から始まる。長州藩の重心として目を付けられ、付け狙われるところからはじまる。

高杉晋作と言えば、長州藩、士農工商を超えた騎兵隊の結成、若くしての死、三味線、NHKで私と同年の俳優の中村雅俊のイメージが強い。

この本を読んで、彼のイメージが完全に壊れてしました。結婚をしてるがこんなにも女に、お金にだらしないとは、思わなかった。女にだらしない志道聞多ja.wikipedia.org/wiki/井上馨は、いろんな本でも描かれているが、晋作も同様とは知らなかった。


どの時代も、社会・政治の裏には女性の存在が大きい


作家/村上元三氏は、彼を偉大な人間として描かれることなく、一人の、どこにでもいる長い顔をした長州藩士として描いている。

高杉晋作の素晴らしいところは、人柄だろう。素直さ、一途に人間を愛する性格、そして女性に男性にと好かれ慕われる。

桂小五郎の存在、上海の旅、騎兵隊がどのように生まれたかなど、楽しく読める。


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村上元三 新選組 [私の読書]

村上元三 『新選組』

近藤勇、土方歳三、沖田総司が新選組として活躍した期間はたった6年間(1863年~69年)。総司25歳、勇と歳三は35歳という若さで亡くなった。今の時代を顧みる作品でもある。
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1950年に書かれた新選組、1962年の司馬遼太郎は「新選組血風録」


この作品の主人公は外国語もでき、ピストルもこなす現代人のような秋葉守之助。彼が離れた位置から冷静な目で「新選組」を見る。明治以降も生き残り、勝海舟、桂小五郎に誘われ、横浜で貿易商人になる。
何度か、生死を分ける危機に陥る。殺されるかとヒヤヒヤしているところで、誰かに救われる。美しい女性に持てるハンサムな若者。近藤勇を尊敬し、生きることの大切さを一生懸命に語る。

時代劇ではなく、現代的なストーリーのような気がする。秋葉守之助がタイムトンネルから来た若者だろうかと思ったりする。彼が居ることで、全体の構成が楽しい。
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平賀源内 [私の読書]

『平賀源内』の人生

村上元三の『平賀源内』


時代をはみ出したマルチ人間 奔放と軋轢の生涯”をおくった彼の人生を垣間見ることができた。

平賀.jpgこんな人がいたんだ。

時代に流されることなく自由奔放に生き51歳で他界した平賀源内(1728年~1779年)。彼を支えた松平の殿様、経済的にも手助けした田沼意次(私には悪者のイメージしかない)。



平賀6JPG.JPG




彼の生まれ故郷を訪れ、平賀源内資料館と彼の生家


高松藩の志度米蔵番、下層階級で生まれた彼は24歳の時、長崎に一年間留学する。 それまでに、俳句、絵画を好んでいた。本は長崎から始まる。 ここで知りえた情報と知り合った友が彼の人生を決めた。

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最高に面白いミステリー本 [私の読書]


読書は愉しい、読書は年齢によって、愉しみ方、感じ方が違う


二流小説.jpgNHKBSのブックデビューで紹介された「二流小説家」ディヴィッド・ゴードン(青木地鶴訳)に引き込まれてしまった。この番組で面白い、最高に面白いと紹介するものだからついつい読んでしまった。   ニューヨーク生まれ、ポルノ雑誌の編集部に勤めていたディヴィットは、囚人から寄せられる数多くの手紙にヒントを得て、この小説を書いた。彼にとっては、処女作として発表された。





時代劇小説、司馬遼太郎、佐伯泰英、山本一力、最近では村上元三しか知らない私が、はじめて現代物のミステリ本を読んだ。それも早川書房の外国の訳本、それだけでも気持ちは引くのだが。少し長かったが、後半62から自然と殺人者を探し始めた。殺人者が無罪ではないか?彼女が殺人者ではないか?と、疑いたくなったり、彼女と結ばれればいいなーと思ったり、さえない小説家を応援していた。


自分を二流小説家と位置づけて、彼の生活がそのままストーリーの中に、織り込まれて主人公ハリーになっているように感じた。そして、それが、生々しく、殺人者を一層怖く感じた。

主人公のハリーは、さえない中年作家。SF、ヴァンパイア小説の執筆、さらに高校生の家庭教師とで生活を食いつなぐ。彼を取り巻く、二人の女性がすばらしい。かなりもてる男性のようだ。腕力が強い男でもなく、金持ちでもない。これと言って魅力を感じさせないが、彼を一人にしておけないという弱さと真面目さが、女性にとっての魅力なのだろうか?



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